困っている人にどのように親切にしてあげるか・・
それを子供に教えるのは、日頃の親の姿でしか伝えられないと思います。
と言っても、慈悲の心を子供に教えるなんてどうしたらいいのでしょう?
しかし、なんですねぇ、今は人の助けなんて必要ない人でも
いつ人のお世話にならなければ生きていかれない状態になるか分かりません。
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ホームレスの話を書こうと思います。
テキサス州ヒューストンという街は、アメリカで4番目に大きな都市です。
うちはダウンタウンから近い所にあるので、住宅地と言ってもホームレスの人たち
をちょくちょく見かけます。
昔住んでた家の塀沿いに、いつも飲み干したビールの空き缶を置いていく、
不届きなホームレスの人がいました。
ある日、ドアを開けると、すぐそこに彼が坐っています。
それで私を見るなり、お腹が空いてるからお金をくれと言うので、
(お金あげたらビール買っちゃうな)と思って、
「お金はあげないけど、お腹空いてるならサンドイッチ作ってあげるから、そこで待ってなね」って私が言うと、
「マヨネーズ嫌いだから入れないで」なんて、我が儘言ってんの。
(面白い奴だ)と思って、彼の言うとおり、マヨネーズなしの
ハムチーズサンドを作ってあげました。
それから、彼はビールの缶をうちの外に置きっぱなしにしなくなりました。
別なホームレスは、夫が外に出た時に、やっぱりお腹が空いているから
お金をくれと言ったそうで、夫も私の真似をして、
「じゃあ、サンドイッチ作ってあげるから」と言って、家に戻ってきました。
夫がキッチンでサンドイッチを作り始めた頃、チャイムがピンポーンと鳴りました。
ドアを開けると、なんとホームレスの人たちが3人も4人も立ってる。
それで、「サンドイッチ作ってくれるっていうので、仲間も連れてきたけど、彼らにも作ってくれますか?」って。
夫はビックリしたけどみんなの分も作ってあげました。
車で走っていると、交差点のところでよくホームレスが物乞いをしています。
息子には小さい頃から、「あの人たちは怠け者だからじゃなくて、色々な苦労があって乞食になった人もいるはず。世の中には苦労なしに育つ人もいれば、貧困の中で病気になる人もいるんだよ」って、いつも色々な話をしていました。
信号待ちのタイミングが合わなかったり、明らかにアル中とかドラッグ中毒でない人(本当はそういう人でも助けが必要なんだけど、彼らがお金を持ったらまたお酒やドラッグ買っちゃうから、お金はあげられない)以外には、ちょっとだけお金を渡しています。
今は息子も大きくなって、時々自分でも仕事をして(庭の手入れで雇われているお家があるんだ)お金を稼いでいるので、彼にもお金を渡させていますが、一度息子にきつく教えたことがあります。
「お金を渡す時は、お金をあげるのではなく、気持ちをあげなさい」
息子が下を向いたまま、お金を「はいっ」ってあげた時に言いました。
「物乞いしている人でもさ、恥ずかしいっていう気持ちがあると思うんだよ。それでお金だけポイってくれたら、お金を貰っても彼らの気持ちがすさんじゃうよね。だからお金をあげる時には、このお金を使ってください、これからがんばってください、応援してますよって、そういう気持ちを込めて、彼らの目を見て声をかけてあげるんだよ」
って教えました。
息子は始めは恥ずかしかったようですが、今では彼らの目を見て、
ニコッとしながら、「God bless you」(神の祝福がありますように、とか軽くはお大事にという意味)と心から言えるようになりました。
そうして、明るく笑いながら気持ちを伝えてお金を渡すと、相手も笑顔で
「ありがと~」って返してくれます。
お金をあげるからって、偉いわけじゃないということを知らない人もいるだろうね。巷には、金さえ払えば何でもできると思っているような人、たくさんいるもんね。
でも、親としてはさ、子供がそんな大人にならないように、シェアする時の心構え、そしてシェアすることの幸福感をこういう身近なことで教えておきたいと思っているのでした。
ニューオリンズに行った時に撮った、飲み屋街の掃除をしているフレンチクオーターの朝の風景